うたたねのあいだにかなう

誕生日の二日前に、大好きな先輩から郵便が届いて、開けたら一冊の本と何枚ものポストカードが入っていた。 その手で、ゆらりじわりと滲ませられたのだろう青のグラデーションがうつくしかった。 ページをめくれば懐かしい可愛いふたりがいて泣きたいほど嬉…

雨の季節をえらんで夏へ

七変化という別名もあるくらいで、やっぱり紫陽花の色のうつろいは美しいなと思う。 雨の季節を選んで咲く花。なんでかな。 高校生の時の通学路に、うちの町で一番大きい川の岸に、神社の境内へつづく石段に、咲いていた青や水色の紫陽花。大学生をやってい…

遠い雨、遠い夏、遠い日

この歳にもなってまだ雨の中の自転車帰宅を強行する。 朝の出勤はさすがにそんな無理しないけど帰るだけなら濡れても全然平気だな。いけるいける。一刻も早く帰るという気持ち、高校生のころから全然変わってない。ね。バスもあんまり好きじゃないままだね。…

春ひなたと春ひかげ

コートはすでに春用なれど、いつまでマフラーをせねばならぬのか、と思いながら出勤する日々がとうとう終焉。 4月18日木曜日、朝見た時にはまだふくらみかけだった桜のつぼみたちが、夜にはぽこぽことまあるく花を咲かせていた。その木の下を通る時、ぬる…

春の午前の雨に

前髪が長く重くうっとうしくなるのにがまんがきかない。すぐ切りにいってしまう。午前中は雨が降っていたけど、午後は晴れたので元気に自転車をこいだ。 4月のあたまには雪が降って、まだ朝夜は寒いけど、日差しや風はだいぶぬくんできた。冬コートもマフラ…

しばらくの桜色

そばからいなくなるひとがいる。たとえば弟。 きみの歩く道をきみの好きな色で塗ってあげられたらいいのにな。 それがおおげさすぎるなら、その道端に花を植えることくらい許してほしい。 きみは花の名前を知らないかもしれないけど。花だってきっと自分に名…

頬杖をついてよいころ

どうしても会話がへたなので、ひとつふたつみっつ言葉を発して、自分もなにも言えないし相手もどうすればいいか困っているし、みたいなことによくなる。言葉がでてこなくて、「うん」とうなずいてみる。 相手もつられたように「うん」とうなずく。 いいんだ…

あることないこと(永遠とか)

おしごと以外は楽しく過ごしていた。 楽しく過ごしていたのでおしごともほどほどにできたかんじ。 自分でもびっくりするくらいスタミュ愛がほとばしってとまらないのである。 連休終わったら12月にならんかな。 12月になっても賞与もらってワートリの新…

水平線をあつめる

目がまわるほど電話に振り回されていた春、そのひとがそっと投げた海の動画(きらきらしてる波)を眺めてやすらいでいた。北極にあこがれるひとの撮った海はさびしくてりりしかった。友達からの手紙に、駅名と一緒に写った海が同封されていたこともある。新し…

生活のひび

むくげの花って好き。 わりと夏の暑いころから咲いてるんだけど、その終わりごろ、秋のはじまるころの花が好き。ようやくすずしくなってきた風に、うすい花びらをふるわせて、ほっと息をついているようで。 『ワイルドフラワーの見えない一年』という本の、…

そういえばの話たち

(ミュージカルを観て以来憑かれたようにスタミュのことをずっと考えていた。) 親しいひとたちの結婚のしらせを受けるすこし前、わたしは自分のある歌のことを考えていて、それはちょうど結婚というか、これから一緒に住むふたりの歌だった。 雨の日の引っ…

あなたのこと。きみのこと。わたしのこと。

短歌ムック「ねむらない樹」を買って読んだ。 対談とか書評歌評とかエッセイとかもちろん短歌とか、とりどり豪華でとても面白かった。 歌のなかでは、法橋ひらくさんの、「湖」という連作の最後、 あなた、と書けるあなたがいないけど白夜の森の深く、湖 こ…

月のよわい

「I love you.」 「月が綺麗ですね」 という出典不明のあれ、もうずいぶん使い古されているけれど、じっと見つめてみるとやはり名訳なのではないかと思う。うちのお父さんも、まるかったり明るかったり赤かったりかすんでいたりする月のことを教えてくれる。…

エコー(夏という夏)

かつての夏なんて、ただの夏休みだったはずなのに、どうしてこの時期に友達のことを思いだすんだろう。 中学生の時も、高校生の時も、わざわざ夏休みに友達と遊びに出かけた、とか、会う約束をした記憶さえないのにな。ひとりでいた分、そのひとがどうしてい…

歌って、歌って、消えていく

夏の花、こんなに暑いのにぐんぐん伸びてえらいな。 立葵、朝顔、ひまわり、のうぜんかずら、さるすべり、グラジオラス、むくげ。 春の花のやわらかな色や佇まいも好きだけど、夏の花のりりしさもたいへんすてき。「顔を上げている」感じがする。全力で存在…

光のことを教えてほしい

暗黒の就職一年目において生きる支えのひとつであったスタミュ、今でもしばしば録画をリピートしてはいるのだけど、とうとう新たなステージに足を踏み入れてしまった……。舞台、とても面白い。とても楽しい。観ていてほんとうに距離が近くて、足りないなかで…

天井の星、壁紙の野原

弟たちと同じ家の同じ部屋で寝起きして大きくなった。 熊の子みたいに巣穴でくっついてぬくぬく。最年長をいいことに弟たちを気ままに使ったり、甘えたりしてきたので、案外姉のほうが弟離れできないかもな、と最近思う。 下の弟も受験生だから。寝室の、ク…

うたかた

毎日暑い。 クーラーが昨日やっとつきました。 七月の連作はなんとも夢見がちな出来になった。中学生のころ『しにがみのバラッド。』が愛読書だったので、「世界がだれかの見ている夢だとしたら、そのひとが目覚めたらたちまちみんな消えてしまう」という思…

あまい海

ひどい雨で、お仕事が増えて、耐えて、なんとか終わった。ぎゃーん。花金の夜を返せ。 雨の匂いに懐かしくなるのは何でなんでしょうか弟が最近好きなヨルシカの「ヒッチコック」。 なんでなんだろうね。 小学生のころ、あひる色の傘。 中学生高校生のころ。…

手紙の結び目

紫陽花の毬、近所には青いのと白いのが多い。手紙を読んで、結びまでたどりつく。 こんなにも幸せを祈る言葉があるのだなんて毎度びっくりするし、そうやって祈りで終わるから手紙が好きだ。 すぐには届かない。叶うかもわからない。 遠い。遠いけど。 それ…

六月のぽぽ

紫陽花がはじっこから色づいてきた。ヤマボウシもそろそろ終わり、今度はナツツバキの白いつぼみがふくらみはじめている。ドクダミもよいな。 夏の白い花はしんとして綺麗。 友達にもらった青いノート、しみじみと眺めながらなにを書こうかわくわくしている…

青いノート

昨日は誕生日で、だからお仕事はおやすみしてただのんびり過ごした。美容院で「いつもより短くしてください!」って言って、切ってもらったらほんとうに軽くなって気持ちがよくてびっくりした。夕ごはんの買いものする頃には雨が降っていて、駐輪場でどうし…

ヤマボウシ

六月最初の土曜日曜がそろっていい日すぎたのでこわいくらい。そしてなんと今週もおでかけなのだ。ふわふわして、まだ夢の中みたい。 こんなにすてきなことがほんとうに起こっちゃうんだな世界って。髪をめちゃくちゃに短くしたい。 金曜日おやすみもらった…

祝日の作成

いまほんとうに幸せなおしらせがあって、それは好きなひとが幸せってことで、よかったという気持ちしかなくて泣いてしまった。よかった。

明るい日陰の花たち

祝日のない6月はわたしの誕生月なんだよ。 友達や家族とおでかけしたりおいしいものを食べたりするのだ。本だってたくさん買っちゃう。 朝夜はまだかなり寒いものの、しっとり雨の季節の気配。庭木に水をやったあとのしめりけと、雨が降る前のしめりけの違…

異星人のはてな

お仕事する部屋と廊下とをゆききして、 ふと窓の向こうの空の色や、草木のしげみ、風のそよぎに目を奪われる時ほど、自分を異邦人だと感じてしまう瞬間ってないな。 おそらくアオバズクではないかと思われるのだけど、鳥がめちゃくちゃ鳴いてる深夜。 夜更か…

言葉の先生たち

前々からやりたかったことではあるのだけど、やっと気力がわいたので。今日の午後はおすすめ短歌本のプレゼンを作ってみるなどしていた。読書メーター今はほぼ登録するだけだし、感想もTwitterでたまにつぶやくくらいなので、久しぶりにレビューみたいなの書…

パープルとイエロー

今週はそんなにいそがしくなく、精神的にも安定しててよい感じ。通勤路のライラックの花を通りすぎるとき、ちょっとだけ自転車のスピードをゆるめる。 朝のうるんだ空気のなかで、夢が夢のまま現れたかのような、やさしくて、けれどりりしいうすむらさき。ラ…

きみはきみの遺跡

特にすることもない土曜出勤だったので、『桜前線開架宣言』ぱらぱらしつつスーパー作歌タイム。そろそろ歌集の買い時か??? (精神的にやばくなると歌集を買い求めてしまう意) と、思っていたけどいくらか心を取り戻しました。 歌集はほしいけど。 ところ…

マジック・アワーの中学生

今日は気分が乗らなかったのでお仕事サボりました。仮病を行使。 やはり五月病?なのか? 昼過ぎまで眠って、のろのろ起きてお母さんのお弁当を食べて、城跡の公園まで出かけてぼーっと過ごした。帰りに買い物をしてシチューを作った。 躁とまでいかないけど…