うたたねのあいだにかなう

誕生日の二日前に、大好きな先輩から郵便が届いて、開けたら一冊の本と何枚ものポストカードが入っていた。

 

その手で、ゆらりじわりと滲ませられたのだろう青のグラデーションがうつくしかった。

ページをめくれば懐かしい可愛いふたりがいて泣きたいほど嬉しかった。

あのころは働き始めたばかりで、いろんなことが難しくて怖くて、どうにもならないことがときどき起きて、優しい言葉とそんな言葉をつかえる場所が必要だったので、私も、たぶん先輩も、救われていたとおもう。

それにしても猫をかぶっているしふいに生意気さが出てくるな……。

 

かなうんだな、っておもった。

お願いしたわけじゃないことも、予感すらなかったことも、こうしてかたちになるんだな。なんて素敵なこと。

当日はまだなので、来るその日にもたぶん、優しい人たちがたくさんおめでとうを言ってくれるとおもうのだけど、それも「かなう」て感覚だなと。誕生日の感覚。贈り物の感覚。ねえ、私、待っていたわけでもないのに。かなえてもらえた。

 

なにもかもたくさんかなえばいい。祝日のない六月。

 

 

六月に祝日 今日は夢、夢だから、夢でいい、生まれたらいい