2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

美しい椅子

椅子に座っている夫婦の絵画を見て、 ソファに腰かけておしゃべりして、 椅子とかを売ってる友達に会いに行った。奥さんのほうの絵画を、画家は「船乗りがその絵を見たときに、遠い記憶の子守唄を思い出させるような」ものにしたかったのだという。音は鳴ら…

しらふじゃなかったら泣いてた

もうだめかもしれないけど、 会いに行くことは前向きな行為だと思う。あなたはこわくない未来。

涙の時は歩いて帰る

綺麗だなんてあたりまえのこと言わなくていいから、一緒にいてよ。 一緒にいて、一緒に月を見ようよ。 草むらに生まれたことを思いだせ わたしが生んだ風ども走れ

ぽん

弟から届いたポストカードに、 「元気出せ」 と、ひと言。 がんばれと書かないところに理解を感じる。やさしい子だな、わたしの弟は。 出航の月でこんなにひとりきり泣きそうだから傘もっといで

金の十字架

目標。 楽しい土曜日、日曜日。 ゆっくりと夜道を踏み外す鬼に金木犀の花よ散れ散れ

吹いても飛ばないものもの

先立つものがめちゃくちゃあったらなにがしたい? と、聞かれた。 わたしは、 「綺麗なものをたくさん見たい」 と、言った。 そのひとは、大学を作りたいという。 せ せ 世界 唱えてほしいかるがるときみが運べるよう せ せ 世界

あまいゆび

従兄のところに生まれた赤ちゃんを抱かせてもらった。 すべすべぷくぷく。どうか、みんなまとめてしあわせになるんだよ。 だからわたし燃やした日々をいとおしむマッチ売りの娘が来世

シイカとリンネ

ゆううつな金曜日だった。 お昼はどうしようもなくさびしい気持ちだったけれど、 ただただ眠い、いま。 紙屑を落としてゆけばくしゃくしゃのゆめのなかまできてくれますか

鳥居

川辺でひとりお昼ごはんを食べる。 みなもを鯉と鴨がすべっている。 今日はよい天気。 それがなんていう鳥なのか、下から仰ぐだけではまるでわからないな。 ここにいればこわくはないね 公園で眠れる鴨に光をあてる

半透明の夜

半袖が好きなのに夏が終わってしまった。 自分の机の上のことでも、まだわからないことばかり。 永遠ではないほうだけど手のように楓は願うかたちになって

百日紅

なにも見えなくなればいい、 なにも聞こえなくなればいい、 なにも言えなくなればいい、やっぱりやだな、と思うことを繰り返して、 今日はなんとなく歩いて帰った。 何度も立ち止まりそうになる。 観覧車は金星の子 しゃぼんしゃぼんゆきばがないならさわっ…

会えなくても、届かなくても

群れを作らず、たった一個体で生きてゆくたぐいのけものたち、彼らもふいに、母や父、ともに生まれたきょうだいたちのことを、なつかしく思い出すような瞬間ってあるのだろうか。 あかるい扉 美しい背 やさしい壁 ブックエンドに凭れるこども

あしたのためにならない

不安なことや怖いことばかりに心をとられて進めないでいる。 半月ぶりにぽつぽつ詠んで、短歌があってよかったと思った。懐古主義の臆病者だから、思い出に生かされている部分がきっとひとよりずっと多い。かつての思いが、うつくしい言葉になってそばにいて…